次の暗号資産サイクルはすでに動き始めており、その特徴はこれまでのサイクルとは明確に異なる。ビットコインの半減期(約4年ごとに新規発行量が半減するイベント)に連動した4年周期が暗号資産市場を読み解く定番のフレームワークだったが、市場の構成、規制環境、機関投資家の参加における構造的な変化は、今回が過去のサイクルとは質的に異なる軌道を描く可能性を示している。

過去のサイクルを振り返る

次の暗号資産サイクルを理解するには、これまでのパターンを知る必要がある。ビットコイン誕生以来、暗号資産市場は4つの大きなサイクルを経験してきた。

2011〜2013年。 ビットコインは1ドル未満から1,100ドル超へ急騰し、初期の愛好家の熱意と最初の取引所の登場が原動力だった。続く暴落で200ドル以下まで沈んだ。

2013〜2017年。 ICO(新規トークン発行)ブームが第2のサイクルを牽引し、ビットコインは約2万ドルに到達。暗号資産全体の時価総額は8,000億ドルを超えた。個人投資家の投機が中心で、数千のトークンプロジェクトが未登録の証券募集で資金を集めた。

2017〜2021年。 DeFi(分散型金融)とNFTが第3サイクルを特徴づけた。ビットコインは69,000ドルを突破し、イーサリアムは4,800ドルに達し、時価総額は3兆ドルを超えた。機関投資家の関心が芽生えたが、まだ慎重だった。中央集権型のレンディングプラットフォームを通じた借入が、上昇とその後の崩壊の両方を増幅させた。

2022〜2025年。 現在のサイクルは2024年1月のビットコイン現物ETF承認が引き金となった。これにより機関投資家の資金が直接流入するルートが開かれた。2024年4月のビットコイン半減期が新規供給を削減。ビットコインは2024年後半に10万ドルを超え、ETFへの資金流入と機関投資家の動きが主な原動力だった。

各サイクルには共通の要素があった。きっかけ、物語、借入が膨らませる行き過ぎ、そして痛みを伴う調整。しかし、誰が参加し、どんな物語が投機を駆動し、借入がどう構造化されていたかという中身はサイクルごとに大きく変化してきた。

今回は何が違うのか

いくつかの構造的な変化が、次の暗号資産サイクルを過去とは本質的に異なるものにしている。

機関投資家の参加が「お試し」ではなく「本腰」になった。 前のサイクルでは、小さな配分で入ってきて最初の下落で撤退する機関投資家の「観光客」が目立った。今回は規制された手段を通じた構造的な参入が特徴だ。ビットコインETFは最初の1年で運用資産500億ドル以上を集めた。年金基金、大学基金、政府系ファンドが恒久的な暗号資産への配分枠を設けつつある。この機関投資家の基盤は、前のサイクルには存在しなかった資金の流れを生み出す。

借入の構造が変わった。 2021年サイクルはThree Arrows Capital、Celsius、BlockFi、FTXのような主体を介した不透明で中央集権的な借入が特徴だった。現在のサイクルの借入はより分散化されている。透明な清算の仕組みを持つDeFiプロトコル、適切な証拠金設定のある規制された先物市場、妥当な担保要件の機関向け融資が中心だ。

規制が明確になりつつある。 EUのMiCA(暗号資産市場規制)、香港のライセンス制度、米国のアプローチの変化(現物ETF承認を含む)は、以前のどのサイクルよりも明確な運用の枠組みを提供する。規制の明確化は突然の取り締まりリスクを減らし、それまで不可能だった機関参加を可能にする。

注目テーマが多様化した。 過去のサイクルは「デジタルゴールドとしてのビットコイン」(2017年)や「DeFi/NFT」(2021年)のように単一のテーマに支配されがちだった。現在のサイクルはAIとブロックチェーンの融合、現実世界資産(RWA)のトークン化、準備資産としてのビットコイン、リステーキングやモジュラーブロックチェーン、分散型SNSなど、複数のテーマが同時進行している。テーマの多様化は、単一テーマのサイクルより幅広く持続しやすい上昇を生む可能性がある。

市場構造と資金の流れ

次の暗号資産サイクルの資金の流れは、過去とは根本的に異なる仕組みで動く。ビットコインETFは従来の金融インフラを通じた持続的な需要を生み出す。たとえば金融アドバイザーが顧客のポートフォリオの2%をビットコインETFに配分するとき、これは定期的にリバランスされる構造的な枠組みであり、最初の下落で投げ売りされる投機的な賭けとは性質が違う。

供給面では、ビットコインの4回目の半減期がブロック報酬を3.125 BTCに削減し、過去のすべての上昇相場に先行してきたプログラムによる供給削減を継続している。最終的な発行上限2,100万BTCのうち1,960万以上がすでに採掘されており、需要チャネルが広がるにつれて需給のバランスはますます売り手に有利になっている。

注目テーマとリスク要因

次の暗号資産サイクルを形づくるいくつかのテーマがすでに勢いを見せている。

現実世界資産(RWA)のトークン化は、従来の金融と暗号資産をつなぐ最も具体的な橋渡しだ。ブラックロック、フランクリン・テンプルトン、大手銀行が積極的に金融商品をトークン化しており、機関投資家に最も響くテーマとなっている。AIとブロックチェーンの融合は、現在最も勢いのある二つの技術潮流を結びつける。準備資産としてのビットコインは企業の資金管理(マイクロストラテジー型のモデル)から、国家の準備資産へと拡大しつつある。モジュラーブロックチェーンはインフラ投資を引き続き牽引している。

リスク要因としては、世界経済の状況が最大の外部要因だ。規制の巻き戻しはどの主要国で起きても機関投資家の信頼を損なう。インフラレベルの技術的障害やステーブルコインの価値崩壊は、機関投資家の参入が前提とする暗号資産インフラへの信頼を揺るがす。過剰な借入はどの上昇相場でも積み上がるが、危険な水準に達しているかどうかをリアルタイムで判断するのは本質的に難しい。

歴史的なパターンは、暗号資産サイクルが底値から底値まで約4年続くことを示す。このフレームワークに従えば、現在のサイクル(2022年後半が底値)は2025年後半〜2026年にピークを迎え、2026年〜2027年に次の底を打つ計算になる。ただし前述の構造変化が今回のサイクルを長期化させ、過去のような急角度の上昇と暴落ではなく、より緩やかで持続的な上昇を生む可能性もある。

要点まとめ

  • 次の暗号資産サイクルは、機関投資家の構造的参入、規制された金融商品、テーマの多様化により過去のサイクルとは質が異なる
  • ビットコインETFは上昇時も調整時もその性格を変える持続的な需要チャネルを作り出した
  • 借入の構造は不透明な中央集権型から、より透明で分散化されたものへ移行した
  • RWAのトークン化、AIとの融合、準備資産としてのビットコインが主要な注目テーマである
  • 世界経済の変動、規制の巻き戻し、過剰な借入が引き続き主要なリスク要因
  • 機関投資家の資金が下値を支えることで、サイクルは過去より長く緩やかになる可能性がある

次の暗号資産サイクルは、業界の構造的な成熟が過去の投機的なバブルと崩壊とは異なる市場の動きを生み出せるかどうかの試金石となる。インフラ、規制、機関参加はいずれも意味のある進歩を遂げた。それがより持続可能な成長につながるのか、それとも単にスケールの大きなバブルを生むだけなのか。この問いこそが、いまこの瞬間の暗号資産市場を定義している。