DAO(分散型の自治組織)の登場は、株式会社が発明されて以来、最も大胆な組織運営の実験の一つである。階層的な管理体制の代わりにトークンによる意思決定を置き、資金の流れをすべて公開し、誰でも許可なく参加できるようにする。この実験は混沌としており、しばしば非効率で、成功と失敗の両面で時に壮大な光景を見せるが、その根底にある問いかけは大きい。人間が大勢で力を合わせるのに、本当にピラミッド型の組織が唯一の正解なのか。

そもそも、なぜ会社にはヒエラルキーがあるのか

DAOが何を変えようとしているかを理解するには、まず、なぜ従来の組織が階層型に落ち着いたのかを振り返る必要がある。経済学者ロナルド・コースの理論によれば、市場での取引にはコストがかかる。取引相手を探し、条件を交渉し、約束を守らせる手間だ。階層的な組織は、こうしたやり取りを一つの組織の中にまとめることで、そのコストを下げてきた。

会社は意思決定の権限を取締役会と経営陣に集中させ、素早く動ける指揮系統を作る。株主が資金を出してリスクを負い、専門の経営者が日々の運営を担う。この「所有と経営の分離」が、何百年にもわたって経済成長の原動力となってきた。

しかし、この仕組みには周知の問題もある。経営者が株主ではなく自分の利益を追い求める「エージェント問題」が起きる。内部の人間だけが持つ情報を使って外部の人間から利益を吸い上げることもできる。意思決定の集中は、判断の誤りや腐敗が組織全体を道連れにする「一点突破」のリスクを生む。

DAOは別の道を提示する。もし意思決定の権限がすべての関係者に分散され、資金の管理が原則として公開され、参加に許可が要らないとしたらどうか。

DAOの多様な姿

実際のDAOは、名ばかりの分散化から本物のコミュニティ運営まで、幅広いスペクトラム上に存在する。

一方の端には、UniswapやAaveのような「プロトコルDAO」がある。トークン保有者がプロトコルの設定変更、資金配分、アップグレードについて投票する仕組みを運用している。巨額の共有資金、活発な議論の場、複数人の署名を必要とする安全管理体制を備えている。ただし、投票への参加は一部の大口保有者や代理投票者に集中する傾向があり、意思決定が本当にどの程度分散しているかは疑問が残る。

「投資DAO」はメンバーから資金を集め、集団で投資判断を下す。合衆国憲法の原本を買おうとしたConstitution DAOは、DAOが資金を集めるスピードの速さと、分散型の組織が従来の制度と接触した際に生じる法的なややこしさの両方を見せつけた。

「サービスDAO」は分散型の制作会社のように機能し、外部の顧客向けに仕事をする参加者を束ねる。納期、品質、顧客との関係を、従来の管理階層なしにどこまで回せるかの限界に挑んでいる。

「ソーシャルDAO」は経済的な目的よりも共通の関心を軸に組織され、トークンによる参加資格管理と投票による方針決定で運営される。コミュニティが自らを所有し自ら治めるというDAOの理念の、最も純粋な表現かもしれない。

資金管理の透明性という武器

DAOが従来の組織に対して持つ最も明確な利点の一つが、資金の透明性である。DAOの共有資金はすべてブロックチェーン上のアドレスであり、その残高、入金、出金は誰でも見られる。誰がいくら受け取り、どの提案に資金が出て、支出と成果がどう対応しているかを、外部の誰もが確認できる。

これは、四半期報告書がまとめた数字のスナップショットにすぎず、監査法人の誠実さを信頼するしかない従来の企業財務とは鮮明に異なる。DAOの資金は、インターネットに接続できる人なら誰でも常時監査できるのだ。

ただし、透明であることがそのまま良い運営を保証するわけではない。ずさんな助成金、失敗した投資、あるいは明らかな乗っ取り行為によって共有資金を枯渇させた著名なDAOもある。BuildFinance DAOは、攻撃者が悪意のある提案を通すのに十分なトークンを買い占めることで事実上乗っ取られた。MakerDAOは、大口保有者が個人的な利益のために意思決定を歪めようとする危機を何度も切り抜けてきた。

教訓は明らかだ。透明な統治には、取引が見えること以上のものが必要である。制度としての規範、チェック・アンド・バランス(権力の相互牽制)、コミュニティの監視の目――これらが育つには時間がかかる。

「遅い」という批判

DAOに対する最も根強い批判は、とにかく遅いということだ。全員で決める意思決定は、本質的にトップダウンの指示より時間がかかる。会社なら取締役会で方針転換できるが、DAOは提案を書き、まず空気を読み(温度チェック)、正式に投票を行い、実行までの待機時間を経なければならない。

この批判にはもっともな面がある。変化の速い市場では、DAOの合議プロセスに数週間かかる間に、ライバル企業は数時間で同じ決定を下せる。緊急対応――セキュリティの穴への対処、市場の急変、競合の動き――は、あらゆる行動にコミュニティの合意が必要だと特に難しい。

いくつかの解決策が登場している。委任制度では、トークン保有者がより迅速に動ける代理人に投票権を預ける。選ばれた委員会が管理するマルチシグウォレット(複数人の署名が必要な財布)は、事前に定められた範囲での迅速な執行を可能にする。「異議がなければ進める」方式は、一定期間内に反対がなければ行動を実行に移し、承認プロセスをひっくり返すことでスピードを優先する。

しかし、効率の改善にはすべて何らかの分散化の犠牲が伴う。委任は代理人に権力を集中させる。委員会方式は従来の経営権限を再現する。「異議がなければ進める」方式は、コミュニティが反応する前に有害な行動が通ってしまう可能性がある。効率と分散化の間の緊張は「解決すべき問題」ではなく「管理すべきトレードオフ」なのだ。

法律の世界との摩擦

DAOは法的な灰色地帯で活動しており、現実の運営にさまざまな支障を生じさせている。ほとんどの国はDAOを法人として認めておらず、メンバーが組織の行為に対して無限に個人責任を負いかねない。契約を結ぶ、銀行口座を開く、税金を納める――いずれも、ブロックチェーンだけで完結する組織が持ち合わせていない法人格を必要とする。

アメリカのワイオミング州が制定した「DAO LLC法」は、分散型組織に法的な枠組みを提供する最初の試みだった。マーシャル諸島など他の国や地域も独自のアプローチで追随している。こうした枠組みは通常、DAOに登録や代理人の指定、基本的な運営要件への準拠を求める。純粋主義者はこれを分散化の理念に反すると主張するが、現実の世界と接点を持つためには何らかの妥協が必要だ。

規制の全体像は不確実で断片的なままである。トークンを配布するDAOは証券規制の対象になりうるし、大きな共有資金を管理するDAOはマネーロンダリング防止の規制に引っかかりうる。複数の国にまたがるメンバーを持つDAOは、既存の法律では明確に対応できない雇用法、税法、会社法の継ぎはぎに直面する。

DAOが本領を発揮する場面

正当な批判があるにもかかわらず、DAOは従来の組織では対処しにくい特定の状況で際立った力を発揮する。

法人設立などの制度的な重荷なしにグローバルに人を束ねる力は、おそらく最大の強みだ。DAOは雇用契約も各国ごとの給与システムもなしに、50カ国にまたがる参加者を調整できる。オープンソースの開発、公共財への資金提供、国境を越えたコミュニティの構築において、この軽い足回りは本当の意味で変革的である。

トークン所有を通じた利害の一致も重要だ。意思決定者が自らの決定の結果を引き受ける構造になっている。株式をすぐ売れる上場企業の株主と違い、多くのDAOではトークンのロックや段階的な権利確定が求められ、参加者に投票の長期的結果へのコミットメントを強いる。

資金配分における透明性と説明責任は、従来の組織をはるかに凌ぐ。あらゆる助成金、あらゆる給与、あらゆる投資がブロックチェーン上で見える化され、監査法人や規制当局、調査報道に頼らない説明責任の仕組みを実現している。

主要なポイント

  • DAOは透明な資金管理のもとで意思決定の権限をトークン保有者に分散させ、従来の会社の階層構造に挑戦している
  • DAOの種類は、プロトコルの運営体から投資グループ、サービス集団、社交コミュニティまで幅広い
  • ブロックチェーン上の資金の透明性は常時公開の監査を可能にするが、乗っ取りやずさんな支出を防ぐものではない
  • 効率性は主なトレードオフであり、みんなで決めるプロセスは本質的にトップダウンより遅い
  • ワイオミング州のDAO LLC法のような法的枠組みが現れ始めているが、世界的にはまだ断片的で不確実である
  • DAOはグローバルな人材の調整、関係者の利害一致、透明な資金配分において際立った力を発揮する

DAOの行方を決めるのは、会社を完全に置き換えるかどうか(おそらくそうはならない)ではなく、分散型の運営が階層型よりも良い結果を出せる領域を切り開けるかどうかである。実験はまだ途上であり、データは蓄積されつつある。やがて姿を現す組織の形は、純粋主義者も懐疑論者も今は予想していない仕方で、両方の伝統の要素を融合させたものになるだろう。